狂者の正しい愛し方
「また明日まで、会えなくなるんだな…、晴姫……。」
「そんな一生の別れみたいな顔しないでくださいよ。」
手を伸ばして佐薙さんの髪を撫でると、お返しにと、佐薙さんが私の長い髪に指を通した。
ここで普通ならキスのひとつでもするんだろうけど、私はしない。
佐薙さんに「したい」って言われても、しない。
だって人に見られたくないから。
…だって、格好悪いから。
「……晴姫。」
「なんですか?」
…そう言えば、ひとつ疑問に思ってることがあった。
「……いつになったら、晴姫は俺だけを見てくれるんだ……?」
佐薙さんは時々、よく分からない質問をする。