狂者の正しい愛し方
そうか、お母さんにもお父さんにも、今日のこと言ってなかったっけ。
私は少し何と言おうと考えてから、
なんだ、隠す必要ないや、と思い直して、
「恋人とデートしてくる。」
正直に言った。
「……恋人…? いつから?」
あれ、お母さん食い付いてきたよ。
「前に言ったよね?」
「聞いてないわよ、そんなこと。」
……あ……。
やっぱり覚えてなかったか。
でも私は確かに言った。
そのときちゃんと聞いてなかったお母さんが悪いんだからね。
時間も押していることだし、あまり長くは話してられない。
「じゃ、行ってきます。
門限までには帰るからね。」
「ま、待ちなさい晴姫!晴…」
バタン
玄関扉が、私とお母さんの間に壁を作った。