狂者の正しい愛し方
けれどそんなほんわかとした時間は、日常の些細なことでいとも簡単に壊れてしまうもの。
私達が座ってるテーブルの傍を、二人組の女の人が通り過ぎたときだった。
話し声が聞こえた。
「ねえ、今の席のカップル、男のほうはカッコイイけど、女のほうイマイチじゃない?
子供っぽそうだし、チビだし……。」
「あ、思ったソレ。兄妹じゃないの?
ほらいるじゃん、上は美形だけど下がフツーとか。」
「まじ?声かけてみよっかな?」
なんだこの典型的な悪キャラ。
……なんて気にしても、事実だから仕方ない。
どうせ佐薙さんは大人で美人ですよ。
そんで私は、所詮チビで子供ですよ。
嫌な感じ、とは思ったけど、そこまで腹は立たなかった。
平常心、平常心。
どうせ佐薙さんだってこんなの大して気にしてな……