僕の隣にはきみ
「なぁ、例のことは真山に聞けたのか?」
啓介が周りを気にして小さな声で言った。

「玲?あぁ…聞けなかった。
というより玲も知らないみたい。伊東のこと」


啓介は少し肩を落とし、上履きのかかとをふみつけた。

「そっか。ま、しょうがないよなー」

僕たちは階段を一段一段ゆっくりと登っていた。

「そういやさ、おまえって真山のこと好きなんだよな!?」

「はっ!?違うって。玲はただの幼なじみだからすきとかそういう感情はないって」

「ふーん。でも真山って結構美人じゃねえ?」

僕は玲のことを美人だと思ったことはあまりなかった。
だが、周りの人はよく「玲は美人」と言っているのだ。

「でも伊東のほうが可愛いんだけどな!ははは」
啓介がケラケラと笑った。
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