きみの視る幻想(ゆめ)
許容してやる義務も責任もアオにはない。

それでも許容してしまうのはなぜなのか。

きっとサクラが自分にはない何かを持った奴だからだろうと思う。


「なぁ、アオ」


視線を足先からサクラに向ける。

サクラはまた窓の外を見つめていた。

瞳になにが映っているのかはわからない。


「百%の天気予報が
 なかった時代に、
 俺は生まれたかったのかも
 しれねぇな」


ぽつり、と。

サクラの言葉が床に転がった。
 

< 19 / 44 >

この作品をシェア

pagetop