きみの視る幻想(ゆめ)
斜めにかしいだ土の上で雨にうたれ、たたずんでいる、それ。
すぐにわかったよ。
俺にはすぐにわかったんだ。
周りには丈の短い雑草が生い茂り、
花を咲かせているものもあったけれど、
俺の視界にはただ一本のそれだけしか入ってこない。
よろめきながら近づいた。
黄色い花が揺れている。
膝をつき、花にそっと触れてみた。
柔らかな感触。
もうなにも。
それ、は、もうなにも語らなかった。
俺は周りの土を注意深く両手で掻き取る。
どうするつもりだったのかなどわからない。
わからないまま、根をちぎらないようにして、その花を地面から引き離した。
自分の手にしたものをじっと見つめているうち、俺の目から涙がこぼれた。
「こんなになっちまってよぅ」
すぐにわかったよ。
俺にはすぐにわかったんだ。
周りには丈の短い雑草が生い茂り、
花を咲かせているものもあったけれど、
俺の視界にはただ一本のそれだけしか入ってこない。
よろめきながら近づいた。
黄色い花が揺れている。
膝をつき、花にそっと触れてみた。
柔らかな感触。
もうなにも。
それ、は、もうなにも語らなかった。
俺は周りの土を注意深く両手で掻き取る。
どうするつもりだったのかなどわからない。
わからないまま、根をちぎらないようにして、その花を地面から引き離した。
自分の手にしたものをじっと見つめているうち、俺の目から涙がこぼれた。
「こんなになっちまってよぅ」