きみの視る幻想(ゆめ)
「生まれた時から
飼っていて、
こっちに来るまでは
ほとんど俺が
世話をしていた。
昨日、家から
連絡があってな。
すぐに戻ったんだが
手遅れって感じだった。
苦しそうで
見ていられないほどで、
俺はな、サクラ」
躊躇したのは一瞬だ。
サクラはほかの奴らとは違う。
ほかの奴が驚くようなことを言ってもサクラは驚かないし、
今、自分が抱え込んでいる問いにも答えてくれるだろう。
「見ていられなくて
自分で手を
くだしちまったんだよ」
柔らかな細い首を絞めた時の感触がまだアオの手には残っていた。
「わからない。
なんであんなことを
したのか。
ただ。そうするべきだと
思ったんだよ」
「そうか」
サクラは短く答えた。