きみの視る幻想(ゆめ)
俺は遠のきそうになる意識を必死でつなぎ止めながら、両手を開いてみた。

無事だ。

良かった。

口元がうっすらとゆるむのが自分でもわかる。

心の中であいつを呼ぶ。



----なぁ、サクラ。
    サクラよぅ。

    俺はまだ
    うまく笑えて
    いるだろう?



地鳴りと悲鳴が混ざり合う中で、俺は意識を失っていた。









そして世界が崩れ去る。
 


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