キス屋

すっかり常連客と
なったあたし。



いつも通り、8:00頃
到着の電車に乗り、
キス屋へむかった。



夏の夜は涼しい。
昼間の暑さが嘘の様。



あたしはバイトを始めた。


キス屋に通いすぎて、
お小遣いはあっと言う間に
消えてしまうからだ。



親にも迷惑と分かってるので、
夏休みと言う事もあり、
自分で稼いでみる事にした。



場所は、大好きなドーナツ屋さん。
結構楽しく、今日は初めて
お給料を貰えた。



キス屋はそれまで我慢してたから、
今日は久しぶりなのだ。




一ヶ月ぶりのキス屋は、
なんにも変わってなかった。



「いらっしゃ...あ、恵愛さん
 どうもこんばんは、お久しぶりです」


「こんばんは。リョウスケをお願い」



リョウスケ、と呼び捨てにもしてる。
ため口もきく程になった。



「畏まりました。...でも、
 リョウスケばかりで飽きません?
 たまには別の男性もいかがですか?」



店員は初めて別の店員を
おすすめしてきた。

なので、驚いたと同時に
不思議に思った。


「嫌よ。リョウスケに会いに  
 きてるのに、他の人なんてっ」


あたしは笑いながら言った。



「そうですか…ではご案内致します」



案内人が少しガッカリした
表情を見せたので
不自然さは増した。


...なにか、あったのかな?



< 27 / 35 >

この作品をシェア

pagetop