キス屋


授業の終わりを告げる
チャイムが聞こえると、
皆一斉に教科書を閉じた。



もう帰る時間だ。



「あ、えあー!!あのさ、
 今日一緒に帰れないやあ!」



未波がB組に顔を出し、
そう言ってきた。



「ええ、何でえ?」


「あのねーっっ!!」


彼女はにやけた顔で
こちらへ寄って来た。



そしてあたしの耳元に
手を添えて、


「彼氏できたの」


と頬を赤らめながら言った。


「...ええ!!?まぢで??」


恥ずかしそうに彼女は頷いた。

< 3 / 35 >

この作品をシェア

pagetop