キス屋
まさか、ね。
そう思って、
嫌な考えを頭から消した。
すると、段々
気のせいじゃないと
確信した。
その手の平は、
太ももの付け根を
ゆっくりなで回した。
くすぐったいし、
気持ち悪い。
どうしたらいいんだろ...
誰か気付いてくんないかな...
『痛っ!!』
焦っていると、後ろから
男の人の声がした。
「何ですか一体!?」
振り返ると、
サラリーマンぽい
男の人が1人、
その人に何かした感じの
若い、かっこいい人が1人居た。
「何ですかじゃないでしょ?
あなた、今この子に痴漢してたでしょ?」
若いかっこいい人は
あたしを指差しながら
冷静な口調でそう言った。
周囲はざわめく。