アルタイル*キミと見上げた空【完】
いつの間にあんなとこまで飛ばされたんだろう。
岩場の隙間に花火の残骸を見つけてそれを取ろうとした瞬間。
「おい!」
腕を引き戻されて、振り返ると、凱が真剣な顔をして立っていた。
「お前、どうしたの?なんであいつと目合わさないんだよ」
気づいてたの?
「そんなこと・・・・・・ないよ。今忙しいから・・・」
「汐!・・・・お前、なんかあった?」
その時キャハハと嬉しそうなサオリさんの声が聞こえて、私はうつむいて唇をかんだ。
「やっぱりな・・・・・・どうせまた変なこと考えてるんだろ?」
「変なことって・・・・・・って凱には関係ないから!」
「汐!・・・・・・じゃあ、なんで泣いてるんだよ」
いつの間に涙が流れてたんだろう。
その時吹いた風に、頬の涙の後が冷たく感じられた。