アルタイル*キミと見上げた空【完】
魔法の指と、そよそよと流れていく夏の風に、私の頬の涙はいつしかなくなっていた。
けれど、その手はそこから離れることはなく、
いつしかすっぽりと私の頬を包んでいた。
「凱、ありがとう・・・ごめんね」
励ましてくれてありがとう。
そう言って顔をあげた私が見たのは、空を見上げてる凱の横顔。
「星・・・見えないな、って昼だもんな」
「うん」
何年も前のあの夜のことを思い出した。
「凱・・・星が好きだったよね」
「ん・・・・・・、って、お前が教えてくれたんだろ?」
「え?」
お父さんが教えてくれた、ってあの時は。