アルタイル*キミと見上げた空【完】
この合宿が終わったら、新しいコーチがやってくること。
「修也さん、ずっと俺たちと一緒だ、って言ってたじゃないですか?」
トモが少し涙ぐみながら話す言葉に、誰もがうつむいた。
「ごめん。皆には隠さずに言うよ。実は俺、夢があるんだ。いつかは・・・・いつかは本場でプレイしたい、って」
「アメリカ、ってことですか?」
誰かが言った質問に、修ちゃんはゆっくりうなずいた。
固まったように、修ちゃんから視線が外せない。
「皆の大会が終わるまでは、って思ってたんだけど・・・本当に俺の勝手な都合でごめん。こんな俺が言うのもなんだけど、次来る奴は、すげー上手く教えてくれると思うから。もちろん、俺もこれで全く終わり、って言うわけじゃなくて、また見に来るからな」
「それでも、それでも修也さんの夢があるなら、そっちを優先させてください。俺たちも・・・修也さんのことずっと応援してますから」
「ありがとう」
再び顔を下げた修ちゃんを責める人は誰もいなかった。
修ちゃん、良かったね、って拍手しながら、
心の隅では、私は修ちゃんの何なんだろう、って思ってた。
これは、イコールお別れ、ってことなのかな、って。
でも、そんなことを想像してもそんなにショックを受けないのは、なんでなんだろう。
どちらにせよ、
修ちゃん、がんばって。
バスケの夢をかなえて。
って真剣に思うよ。