アルタイル*キミと見上げた空【完】
「タイチ!」
タイチさんを呼ぶ声がして、心底ほっとしたのもつかの間。
「汐ちゃん?」
うわっ・・・タイミング悪いってこういう感じ?
怪訝そうに私を見るのは、サオリさんだった。
サオリさんは、タイチさんと私を見比べて、眉間にしわをよせる。
「タイチ・・・?」
「なんだよ、ちょ、今いいとこだし、お前あっちいってろよ」
「なにそれ」
明らかにムッとした顔をしながらサオリさんが通り過ぎていく。
「いいんですか?」
「あ?サオリ?・・・・うーん、あいつ今日失恋した、って言ってたから、それで機嫌悪いんだよ。いつもはああいう奴じゃないんだけどな」
失恋?
「あぁ。修也のことだろうな。といっても、皆が知ってることだから。あいつも自分で言ってたし、何度ふられてもあきらめない、って公言してるしな」
「・・・・・・」
「修也、高校でどう?人気あるでしょ?」
ど、どう答えていいんだろ。
とりあえず、うんうん、と首を縦に振ってみた。