アルタイル*キミと見上げた空【完】
噂・・・?
「噂って・・・?」
「修也っ!!」
そう問いかけた私の言葉は、飛び込んできたサオリさんの悲鳴にも似た大声にかき消されてしまった。
振り向くと、サオリさんが息を切らせて立っているのが見えた。
「・・・修也。監督に言われたでしょ?高校生なんかと付き合ってる場合じゃないって」
ズキンッ。
大学の監督・・・。
「だから、早く決めなさい、って・・・・」
「行くよ!」
「え?」
「行く、って決めたから。だからもう高校のコーチはやめる」
つぶやくように言った修ちゃんの言葉に、サオリさんは一瞬驚いたように目を見開いてから、私を見て、笑顔を見せた。
勝ち誇ったような、その彼女の表情に、私は意味がわからず、と同時に緩められた修ちゃんの腕の力に、何か意味があるような気がして、私はその腕の中から体を離した。