アルタイル*キミと見上げた空【完】
「気になる?凱のこと」
思わずびくっと跳ねた私の肩に、砂を払いながら修ちゃんが手をかけた。
「・・・ううん」
気にならないなんて、ウソだよ。
けど、真剣な目をした修ちゃんの前で、そんなこといえるわけがない。
そんな私の様子に多分きっと気づいてる。
修ちゃんは言うんだ。
「けど、俺はゆずるつもりなんて全然ないから」
「修ちゃん」
見上げると、月の光の下で修ちゃんはいつもみたいにやわらかな笑顔で私を見つめてるんだ。
「・・・一目ぼれ、だった」
その薄明かりの中でぽつぽつと話す修ちゃんの言葉は、波の音と入り混じって、心地よく耳に響いてくる。
「高校の試合も終わって、ある程度バスケに関してはやりつくしたかな、って勝手に思い上がってた時だったと思う。・・・汐に会ったんだ」
修ちゃんの右手が、私の頬を優しく包む。
「試合の最中、ずっと泣くのをこらえてただろ?そして終わってから、ゴールを眺めて泣いてた」
うそ。
誰にも見られてないと思ったのに。
あれは・・・私がバスケとさよならすることを決めた試合だったから、よく覚えてる。
けど、それを修ちゃんがみてたなんて。