アルタイル*キミと見上げた空【完】
「はぁ~~~~」
私の話を聞いた凛が大きなため息をついた。
「汐、それって昔の恋を懐かしんでるだけじゃないの?」
「え?」
「昔少し気になってた人が、目の前にもっとかっこよくなって現れたら、そりゃ私だってゆらゆらきちゃうよ」
「・・・・・・」
「ごめん。厳しいかもしれないけど、これが私の正直な感想」
確かに・・・・・・凛の言うとおりかもしれない。
「汐。今の恋を大切にしなきゃ。修也さん、何度も何度も大学で向こうの監督と話し合ってきた、って聞いたよ?渡米も来年の3月以降まで待ってもらうとか・・・それって汐が一緒に行けるように、ってことなんじゃないかな」
「・・・・・・」
「私はもちろん凱くんより修也さんとの方が付き合いが長いから、というのもあるかもしれないけど、修也さんを見てたら、本当に汐を大切に想ってくれてる、てわかるからさ・・・・」
「うん・・・・」
「大切にして欲しいな、って。これは勝手な私の思いだね」
「ううん・・・・ありがとう。ありがと、凛・・・」
「わ、泣かないでよ。汐。修也さんに怒られるじゃない」
昔の小さな初恋が私の胸を揺らしてただけなんだ。
今を見なきゃ。
今を・・・・。