アルタイル*キミと見上げた空【完】

「凱…ごめんね……」


つぶやいた言葉は小さすぎて、彼の背中には届かなかったのか、凱は構わず歩いて行く。


それとも…、


やっぱり私といるのは迷惑なのかな?


「……」


黙ったまま俯いて歩く私の頭はすぐに移動してるはずのボールにぶつかった。


「ぃたっ……」


頭を押さえて顔を上げると、凱が立ち止まって空を見上げて、


「一番星」


「え?」


「ほら」


彼が顎で指した方角に輝くものがちらっと見えた。


「ほんとだ…」


気づけば、空のグレー色はみるみるうちに濃く深く広がって行く。


そしてよくみれば、



「私も見つけた!一番星!ほら、あそこにも、あっちにも」


次々に指差す私を見て凱は笑った。


「ばーか。いくつもあったら一番じゃねーだろーが」
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