アルタイル*キミと見上げた空【完】
コワレル
その後、皆、凱を囲んで盛り上がってたけど、
私達は目をあわすことも、もちろん話すこともなかった。
「汐、なんか顔色悪いけど・・・大丈夫?」
隣のエッコが心配して声をかけてくれる。
「ううん。大丈夫・・・」
「そう?なんか元気ないから・・・」
笑ってるつもりなのに、笑えてないのかな・・・。
「凱!お前さっきの女の人、本当に彼女かよ?超うらやましいんだけど」
向こうで雄太くんが凱に話してるのが聞こえて、
胸の痛みが増したような気がした。
「ごめん・・・・やっぱり、私帰るね」
「あ、汐!」
入り口のドアを開けて外へ出ると、
いつの間にか、もう空は暗くなってた。
早く離れたくて。
少しでも遠くに行きたくて。
私は早歩きで歩き出した。
現実から・・・・逃げたかったんだ。