アルタイル*キミと見上げた空【完】
つながるキモチ
奇跡だと思う。
「汐・・・」
近づいた声は今、一番会いたいと思った人のもので。
ゆっくり振り返ると、凱が立っていた。
息を切らして、肩を揺らして・・・
「凱・・・なんで?」
「気になって・・・あいつ、なんかいつもと違う感じがしたから・・・」
そういいながら、近づいてくる凱の姿に、
また私の涙腺はあっけなく緩んでいく。
凱は何も言わずに私の頭を軽く叩いて、もう一方の手で頬の涙を拭った。
凱、好きだよ。
言えないのは、サオリさんの顔が浮かんだから。
黙って何も言わない私に、凱は困ったように微笑んだんだ。
「てか、お前が笑っててくれないと、困る」
「困る・・・・って何よ」