アルタイル*キミと見上げた空【完】
けれど。
「うん・・・・」
上を向いたままつぶやくように言った凱は大きく息を吐き出して、ぎゅっと目を閉じた。
と同時に、私の頭の中にさっきのサオリさんの嬉しそうな笑顔が思い出されて、急に恥ずかしくなった。
「ごめんっ。なんか変なこと言っちゃって・・・・・・」
つながれた手に一瞬凱の力がこもったような気がしたけど、すぐにあっさりと離れた。
「へへ、ごめんね。忘れてっ!?」
「汐」
「サオリさんがいるのにね。本当に。タイミング悪いし、私」
「汐!・・・・あいつとなんかあった?」
修ちゃんと・・・・なにがあったのか・・・
「わからない」
首をふり、顔を落とした私の肩を凱はきつく掴んだ。
「わからない、ってお前・・・・・・あいつとアメリカ行くんだろ?な?」
「・・・・私は、行かないよ、って・・・・」
「は?」
「修ちゃんに、離れたいって・・・・言った」
「汐・・・・」