アルタイル*キミと見上げた空【完】
今、見んな、って言ったくせに・・・・・。
私のあごは軽くすくわれ、落とされた唇は、何回も軽いキスを繰り返して、
それは、私を気遣ってくれるような優しいキス。
・・・凱は昔から、そうだったね。
優しく優しくいつも私を守ってくれてた。
いつしか私の頬に伝い始めた涙の筋を、凱の指がそっと拭った後、
「汐・・・」
私の名前を一度つぶやいた凱の口が、今度は深く私の唇を奪ってゆく。
こんな・・・・
こんな、心地いいキスってあるんだ。
幸せで、幸せで・・・・。
唇が離れた後、ため息をつきながらおでこと鼻の頭を合わせる凱の表情を見ることは出来なかったけど、
私もただ、目を閉じて
「好き」
と何度もつぶやいた。