アルタイル*キミと見上げた空【完】
「タイチには、もう話してあるんだけど・・・・堂島をしばらく大学の方に放課後連れて行きたいんだけど、いいかな?」
え??
「いやさ、サオリがマネージャーを辞めてしまって、ちょっと困ってるんだ。次のマネージャーが決まるまでいいからさ」
そんなの・・・・聞いてないし。
驚いて修ちゃんの顔しか見ることが出来ない私の前で、彼は前を向いたままこちらを見ることはない。
「汐さんがいなくなるの寂しいけど、少しくらいだったら・・・・なぁ?」
「・・・てか、そんなの断れないだろ?」
は?
だから、私聞いてないから。
「じゃぁ、みんな悪いけど、お願いな」
そう言って、修ちゃんは私の手をぎゅっと掴んだ。
ヒューッ!
男の子達の歓声と、
ギャ~~!!
ギャラリーから聞こえる女の子の悲鳴が入り混じって
私は自分がすでに修ちゃんに引っ張られてることにようやく気づいた。
「ちょ、し・・・・栗原さんっ!!」
呼びかけても答えてくれないその背中に、
私は思わず振り返って・・・・彼を見た。
凱。
嫌だ、凱。
「修也っ!!」
喧騒の中で聞こえたのは、彼の声だった。