アルタイル*キミと見上げた空【完】
悲痛そうな修ちゃんの横顔に私はもう何もいえなくなった。
同時に、もう一人の私が頭の奥でささやく。
『こんなかっこよくて優しくて最高の彼氏を振ってまで凱に行くの?凱には綺麗な彼女がいるのに?』
本当だ・・・。
現実をしっかり見てないのは私の方か・・・・。
そう、唇をかんでドアミラーを見た瞬間。
「凱・・・・」
肩を揺らせて校門から飛び出てきた凱が見えた気がして、思わずつぶやいた。
思わず振り返ると、凱が小さくうなずいたように見えた。
でもそれは一瞬のことで、すぐにその姿はスピードを上げ始めた車からは見えなくなる。
なんて単純なんだろう。
さっきまでの不安な心も、もう一人の自分の声も、
「見たような気がする」凱の表情に一瞬で消え去るんだ。
凱は信じてくれてる、それがわかるから。
昨日の夜の彼を信じればいいんだよね。
私も・・・ちゃんと修ちゃんと向き合わなきゃいけない。
心がそこにないのなら、ちゃんと・・・・お別れしなきゃいけない。
凱、私頑張るよ。