アルタイル*キミと見上げた空【完】
そんなわけない。
けど・・・記憶のかなたにいる人に似てる。
凱のお父さんに・・・・。
「汐?」
修ちゃんが怪訝そうに私とその「監督」を交互に見てる。
「監督」は不思議そうに私を眺めて、
「もしかして、キミが修也の彼女さんかな?」
と声を出した。
・・・ううん。
そんなわけ、ないんだ。
「汐?」
もう一度修ちゃんに声をかけられて、ようやく我に返る。
挨拶すらできてなかった。
「はじめまして。堂島汐といいます」
「堂島汐ちゃんか・・・いつも修也がお世話になってるね」
にこっと笑った監督は、想像してたのとは全く正反対の優しそうなおじさんだった。
ただ、そう思ったのは、凱のお父さんと少し似てる、と初め思ってしまったからかもしれない。