アルタイル*キミと見上げた空【完】
「今日はいきなりすまんね。いや、修也がなかなかキミを会わせてくれないからな・・・ってこんなに可愛かったらそれも無理ないか。ハハハハ」
豪快な笑い声が、監督の顔をくしゃくしゃにさせる。
本当に・・・鬼監督、と恐れられてるのがウソみたいに見えるんだけど・・・?
「で、汐くん。これは全く強制ではないんだけど、向こうにこの大学の姉妹校があってね。もし修也と一緒にアメリカで勉強を学びたいという時には、紹介したいと思ってるんだ」
「へ?誰・・・を?」
「キミを、だよ。汐くん」
私も・・・・アメリカで大学にいける、っていうこと?
「キミのマネージャーとしての才能も、修也からよく聞いてるから、是非にと思ってね。というよりも・・・修也が何しろキミと離れたくないらしいからな。ハハハ」
一瞬浮ついた気持ちは、ぐっ、と胸に詰まって落ちた。
そうだ。
今日は、断りにきたんだ。
「あの・・・すみません。今日は・・・」
と言いかけた時に、コンコンとノックの音が聞こえた。
「珍しい、少し早いな」
時計を見て、監督がつぶやいた。
「実は、今日。修也ともう一人アメリカに挑戦させようとしてる子を呼んでるんだよ・・・・あぁ、入って」
断るタイミングを逃しちゃった。
でも、次は・・・・言わなきゃ・・・。
ぎぃっとドアが開いた。
何気なく振り向いた瞬間、心臓が止まりそうになった。
「凱・・・」