アルタイル*キミと見上げた空【完】
と、同時に蘇る思い出に、思わず涙腺が緩むのをかろうじてこらえた。
あの頃のおじさんが、今ここで凱と笑いながらしゃべってるように見えたんだ。
その後、監督は、修ちゃんと凱に、渡米についての話を簡単にしていた。
興味なさそうに聞いている凱の姿が目に焼きつく。
私は、パニックだらけの頭の中で、今日初めて聞いた事なのに、
あぁ、凱はアメリカに帰っちゃうんだなぁ、
なんてぼんやり考えてた。
なんとなく、それが本来の道、というような妙な実感があったんだ。
話はあれよあれよという間に進み、
「じゃぁ、汐くん、少しだけでいいからマネージャーの仕事頼んだよ」
なんてさりげなく頼まれながら、私と修ちゃんは先に部屋を出た。
「お前はまだ残れ」
「なんだよ~」
なんて親子みたいな会話をしてる凱と監督を残して。
・・・結局断ることが出来なかった。