アルタイル*キミと見上げた空【完】
「あの時、汐がさ、手持ちぶさたにずーっと空をながめてたんだよな。初め何みてんのかな、って思ったんだけど・・・・あぁ、星を探してる?って思った」
「・・・・・」
「高校のときに一目ぼれした子なんだって、その時にやっと気がついたんだ」
「修ちゃん・・・・」
「てか、二目ぼれ?なんて・・・・言葉があるのかわからないけど」
そう言ってアイスコーヒーを一口飲んだ修ちゃんは少し顔が赤いように見えた。
「それからは夢中で。この前も言ったけど、オトナの余裕なんて、全然なかった。・・・・そうだよ、なかったんだよ。だから・・・・」
「・・・・?」
修ちゃんが私の背中越しににこっと微笑んだような気がして、振り返ると、凱が向こうから走ってくるのが見えた。
「今すぐ答えなんか出さなくていいから。俺にもう少し時間をくれないか?」
「修ちゃんっ・・・・!」
振り返ると、いつもの優しそうな修ちゃんの笑顔があった。
そんな・・・・
そんなこと、出来ないよ。
「汐!」
凱が私の名前を呼ぶのと、修ちゃんが「じゃぁあとで」と言って静かに席を立つのとほぼ同時で。
私は・・・・私は、修ちゃんが歩いていくのを追いかけることが出来なかった。
・・・・・・私は・・・最低だ。