アルタイル*キミと見上げた空【完】

さっきの修ちゃんとの話を、凱にしたわけじゃない。



けれど・・・もしかして、なんとなくわかってる?って勝手に感じてる。




「お!姫!!こちらにおわしましたか」


笑いながらタオルを首に巻いて出てきたのは、タイチさん。



「タイチさん・・・って姫、ってなんですか?」


「王子様に連れられてくのは姫、って相場が決まってるんだよ。朝、あれから女の子達がうるさくて大変だったぞ?あと・・・これ、凛ちゃんから」


タイチさんはあはは、と笑ってから、私のカバンを差し出した。


「あ、ありがとうございます!」


「で、王子様はどこかなぁ?あいつに文句言ってやらないと・・・・」


と、見回したタイチさんは、凱を見てにやっと笑った。


「お前、アメリカ帰るんだって?」


「や、まだ決めてないし」


「は?何言ってんだよ。一旦やめて帰ってきてまた挑戦できるってなかなか出来ないことだぞ?」


「てか、あんた今日向こうの練習は?いいの?」


逆に凱に聞かれたタイチさんは、首のタオルを巻きなおしながらボールをくるくる指の上で回した。


「トモ達に任せてきた。顧問の先生もそろそろ復帰できる、っていう話だしな」


そう・・・・なんだ。


明日から、コーチ目当ての学校の女の子達がうるさくなりそうだな。



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