アルタイル*キミと見上げた空【完】
「お、おぉ、そうか・・・」
タイチさんが、納得する声を聞きながら、私はたまらず横を向いた。
「じゃ」
凱の声と、遠ざかる足音が聞こえる。
うつむいた私の目の前に、手のひらから落ちるキーホルダーが一瞬キラリときらめいた。
「凱っ!」
その瞬間、私は、思わず叫ぶように彼の声を呼んでいた。
「これっ!」
なんとなく、これは、大事なもののようなきがしたの。
右手を差し出した私を凱は一瞬振り返って、視線をあわせないまま答えた。
「やるよ!」
「でも・・・」
「さっき拾ったもんだし・・・いらなかったら捨てて」
「凱・・・・」
それだけ言うと凱はまた軽く手を挙げてから、バッグの中から携帯を出し、どこかにメールを打ちながら校門の外に消えた。