アルタイル*キミと見上げた空【完】
息を切らして体育館に戻ると、もうほとんど人はいなくなってて、
オレンジ色の夕陽が何台か止まってる車を照らし出していた。
小さく開いた体育館のドアの隙間から、ボンボンとかすかにボールの音を聞いたような気がして、私はそっと近寄った。
オレンジ色の逆光に照らされて、黒い影が・・・・
飛んでいるように見えた。
目を凝らしてみる。
うそ。
本当は、その影の正体は、その音の正体も私は気づいてた。
「凱・・・」
伸び上がった体から綺麗に放たれる球体はまるで金色に光っているようにも見えて、
私は言葉を失ったんだ。
網を通過したボールが床に跳ね上がる。
その瞬間、彼の顔がゆっくりこちらを向いた。