アルタイル*キミと見上げた空【完】
「凱、何してるんかなぁ」
放課後、体育館に向かう廊下の途中で、トモがつぶやいた。
「手続きで追われてる、ってぼやいてるよ」
毎晩の電話かメールが唯一の私たちのライン。
「…本当にアメリカ、行っちゃうんだよね……」
凛がつぶやいた。
「あったりまえだろ?あいつ、このまま日本にいるのもったいねぇよ」
「トモ……」
凱がアメリカ行くつもりだって知らない頃、トモは嬉しそうに凱と大学行って一緒にプレーするんだって、喜んでたのを知ってるから……つらい、よね。
「…なんかしんみりしちゃったじゃない。トモのせいだよ?」
「てっ…!いてぇよ、凛……そう言えばさ、修也さんは今アメリカなんだよな…あ……ごめん」
「バカトモっ!」
「……ごめん、気にしないで。うん。それも凱から聞いてる。試験でアメリカに行ってるんでしょ?」
きまり悪そうにするトモに笑って見せた。