アルタイル*キミと見上げた空【完】

凱のお父さんを乗せた車が山道のがけの上から落ちたのは、


ハンドルを切り損ねたのか、ブレーキを出しすぎてたのか、


原因はよくわからなかった。


ただ、凱のお父さんが借金を抱えていたことが後からわかって、あれは自殺だったんだじゃないか、なんていう人も近所にはいた。



それも私達にはよくわからない。


けど、


身寄りがほとんど凱にはないということ。



そして、遠くのの親戚に引き取られていった、って言うことくらいしか、



残された私達にはわからなかった。



ただ・・・



引き上げられた凱のお父さんの車の助手席に、ブルーのリボンがついたプレゼントがあったのが見つかって、きっとそれは凱への誕生日プレゼントだったんだろう、って大人達は話してた。



自殺なんかじゃなかったんだ。



お葬式にすら出ることなく連れて行かれた凱にそれが伝わればいいのに、って家のママは泣きながらパパと話してたのを夜起きた時に聞いてしまったんだ。



伝わればいいのに。



そして・・・・・・・あの日の彼の涙がどうか少しでも軽くなりますように。



その晩、眠りもしないでそう祈り続けてた。










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