アルタイル*キミと見上げた空【完】
「ばーか・・・バカ汐」
うつむいた私の頭をくしゃくしゃとなでて凱はつぶやいた。
「俺はさ・・・・お前じゃないとダメなんだ。だから、お前がこうやってそばにいてくれるだけでいい。・・・お前がこうやっていることが、俺にとってはもう奇跡みたいなもんだから・・・」
私の頬に手をそえて、額と額をくっつけるようにそうつぶやいた凱の顔はきっとすご~く真っ赤で。
「凱・・・くさいよ?」
「うるさい」
「でも・・・・嬉しい。ありがとう」
恋愛って、
こうやって、自分とは違う人間に、存在を肯定してもらうことなのかな。
少なくとも、今の私には・・・凱の言葉が魔法のように体中に喜びとして染みこんでいくよ。
「凱・・・・」
「ん?」
「キス、していい?」
自然と自分の口から出た言葉に一瞬戸惑い、けれど、驚いたような表情をしている凱の答えを待たず、その口元に軽く唇を合わせた。
顔が離れた瞬間に、一気に顔の熱が上がるのを感じた。
自分が自分じゃないみたい。
凱に触れたくてしょうがなかったんだ。