アルタイル*キミと見上げた空【完】

いつしか・・・・ひんやりとした床の冷たさが、背中に感じられて、


私はその途切れたキスの合間に、床に横になっていることにようやく気がついた。


凱はキスを繰り返しながら、私の頬や、髪の毛をそっとそっと大切なものを扱うように撫で続けていた。


自分が横になってることに気づいた瞬間、


思い出したのは、この前のあのこと。


けれど・・・・今は全然そんな嫌悪感はない。



好きな人に触れてもらうって、こんなに幸せなことなんだ。


涙が出るくらい、嬉しいことなんだ。



「・・・・汐・・・・?」


頬に伝った涙の上に手のひらをそえて凱が私の顔を見た。


「・・・ごめんっ・・・・」


体を起こそうとした凱の体を思い切り抱きしめた。


「違う、違うの・・・・」


「・・・・・・?」


きっと、凱は勘違いをしてる。

違うよ、凱・・・・。



「嬉しいから・・・・・・。私も・・・凱と一緒にいれることが幸せだよ。ずっとずっと凱を探してたから。これからもずっと凱だけ。凱だけなんだって、自分でもわかるんだ」


「汐」


「だから・・・・・・・・いいよ」


きっと、顔も体も全部真っ赤だと思う。


オトナになりたいっていう焦燥感でもない。


いやな思い出を消したい、っていう強迫感からでもない。


ただ・・・・


凱をもっともっと近くに感じてたかった。


近くにいるその喜びを、私自身にも凱にも、もっともっと同じように感じて欲しかった。


ただ、それだけ。


それだけなんだ。





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