アルタイル*キミと見上げた空【完】
「ね、凱?」
「うん?」
「凱は・・・もしかしてずっと一人で暮らしてるの?」
私のその質問を聞くと、凱の表情がまたオトナっぽく変わるのがわかった。
「・・・あぁ。高校入ってからは、ずっと・・・そうだな」
寂しくないの?
とは聞けなかった。
聞かなくても・・・・わかる。
「凱・・・・私また来るから。うん。よーし、明日は晩ご飯作ってあげるよ。あさってから向こうにしばらくいるんでしょ?和食でいいよね?」
「・・・・・・・」
「メニュー何にしようかな・・・ってあんまり期待しないで・・・・ね・・・・」
瞬間、
私は体ごと引き寄せられ、真っ暗になったと思ったら、目の前には凱の胸があった。
鍛えられたその筋肉質の滑らかな肌に耳を当てると、
凱の心臓の音が、ドクンドクンと響いてくる。
思わず目を閉じた私の耳に、息をこらえるような凱の音が聞こえてきて、
目を開け、凱の顔を見ようとしたけど、それは押さえらて出来なかった。
凱・・・・泣いてる?
見られたくないんだ。
再び目を閉じて、その胸に顔をうずめた。
私がここにいること、忘れないでね。
今からずっとそばにいるから。
これからは、あの夜の約束を、ずっと守っていくから。
凱、
凱・・・大好きだよ。