アルタイル*キミと見上げた空【完】
急に足元がぐらぐらと揺れ始めたような気がして、思わず椅子に倒れるように座り込んだその調子に、吸殻入れが派手な音をたてて倒れた。
ガラガラ、ガラ・・・・・
転がっていくそれを追いかけも出来ない。
「汐、ちゃん?」
その音に気づいたタイチさんが、私がいることに気がついて、固まっていた。
「タイチさん・・・・今のって・・・・修ちゃんの、こと・・・ですか?」
言葉にするのがやっとだ。
頭の中ではその答えもほとんどわかってる。
けれど、否定して欲しくて。
冗談だよ、って言って欲しくて、なんとか声に絞り出す。
タイチさんは、一瞬戸惑ったように目線を揺らしたけど、私をまっすぐに見つめた後、いったんだ。
「そうだよ。修也の足は・・・・神経がやられてる。バスケは・・・・無理だ」
だらんと垂れ下がった手から携帯がこぼれおちた。
♪♪♪
携帯の着信メロディーは凱のものだ。
だけど、その時の私には、その音すら全然聞こえなかったんだ。