アルタイル*キミと見上げた空【完】
星の名前

「修也は知ってるよ」


とタイチさんが言った。


「だけど・・・・みんなには言わないでくれ、って。特に・・・汐ちゃんには言わないで、って。絶対責任を感じるだろうから、って・・・。あいつ・・・・こんな時でも全部汐ちゃんなんだよな・・・絶対バカだよ」


言いながら、タイチさんの目から涙がこぼれた。


「足は・・・ケガはたいしたことなかったんだけど、神経を傷つけてしまったらしいんだ。リハビリすればもちろん日常生活には支障ないだろう、って言われたけど・・・・今回のアメリカの話は・・・・絶望的だって」


ギリギリと胸が絞られるように痛い。


修ちゃんは・・・その話をどんな気持ちで聞いたんだろう。


「でも、あいつさ。本決定まで少しでも時間があるんだったら、少しでも・・・可能性があるなら、リハビリして試合する、って言ってんだ・・・・。だから、入院をのばしたんだよ」



さっき、修ちゃん笑ってた。


退院したらすぐに高校の大会見に行くよ、って笑ってた。


でも、そういえば・・・・


「修ちゃん・・・『お前ら見てたらアメリカ行きたくなくなるかもな・・・・』って言ってた・・・。トモがなにいってんすか、って・・・」


「ほんと・・・・・・バカだよ、あいつ・・・」


修ちゃん・・・・・っ!!


タイチさんは目をごしごしとこすって、


「まだ修也には知らないふりしててやって・・・・・・。あと、トモ達にはまだ言わないで欲しい」


と言った。


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