アルタイル*キミと見上げた空【完】
「汐、なんかにやけてる」
ほっぺをつんつんされて、横を見ると、
修ちゃんが笑ってて。
きっと、我慢してる、って思う分だけ二人で会うときは、結構バカップルになっちゃってるんじゃないかと、思う。
徐々に多くなる人ごみの中で、
やんわりと私の手を包む修ちゃんの右手は暖かくて、私はぎゅっとその手を握り返した。
遠くの空の方から響く音と明るい光に、
驚いて目を上げると、人の頭の上に丸い色とりどりの火花が散っていくのが見えた。
「花火やってるんだ・・・」
「・・・・・」
修ちゃんの言葉に私は答えずに、また下を向いて歩き出した。
「何?見ないの?きれーなのに」
修ちゃんの驚いたような声が私を追いかけてくる。
「花火、あんまり好きじゃないから、いい」