アルタイル*キミと見上げた空【完】

「汐、なんかにやけてる」


ほっぺをつんつんされて、横を見ると、


修ちゃんが笑ってて。



きっと、我慢してる、って思う分だけ二人で会うときは、結構バカップルになっちゃってるんじゃないかと、思う。



徐々に多くなる人ごみの中で、



やんわりと私の手を包む修ちゃんの右手は暖かくて、私はぎゅっとその手を握り返した。




遠くの空の方から響く音と明るい光に、


驚いて目を上げると、人の頭の上に丸い色とりどりの火花が散っていくのが見えた。



「花火やってるんだ・・・」


「・・・・・」


修ちゃんの言葉に私は答えずに、また下を向いて歩き出した。


「何?見ないの?きれーなのに」


修ちゃんの驚いたような声が私を追いかけてくる。



「花火、あんまり好きじゃないから、いい」






< 40 / 640 >

この作品をシェア

pagetop