アルタイル*キミと見上げた空【完】

その時、ふっ、と揺らいだ雨のニオイと共に、頬を叩く雨の感触がなくなったかと思ったら。




「あ……、凱」



見上げると、ビニール傘を持った凱が、私を見下ろして笑ってた。


「バーカ。今日80パー雨だって言ってただろが。天気予報見てないのかよ」


「凱…なんでここに?」


凱は雨が降ってくる空をみあげながら言った。


「お前バカだからさ、傘持ってねーかと思って持ってきてやったんだよ」


「……何回もバカばっかり言わないでよ。それに…昔から傘忘れるの多いのって凱の方だもんっ」


思わずむくれた私の頬を凱はぎゅーっとひっぱって、覗き込んだまま、


「行こ?」


っていたずらそうに笑うんだ。
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