アルタイル*キミと見上げた空【完】

丸い球体の中に、座席があって、これは人工的な空なんだ、ってわかるのに、


まるで、ここには他の誰もいなくて、ただ・・・・このつながれた手の相手。


私の大好きな人、凱と2人きりになってるような、そんな幸せな感覚が私を包む。



説明は・・・・夏の大三角形のことになった。



あの夜、凱が教えてくれた。


あの空のこと、私は忘れないよ。



ベガ、デネブ、アルタイル・・・・・



『中でも、皆さん、ご存知の七夕伝説。あの織姫と彦星がそれぞれデネブとアルタイルだということは知らない方も多いのではないでしょうか・・・・』



機械の説明音が、耳に響く。


デネブ・・・・アルタイル・・・・・・。



あの・・・・・キーホルダーの意味。



私のが、デネブ。そして凱のが・・・・アルタイル。



あれは・・・・。


あれは・・・・・・・。



説明が終わると、少しだけ握られた手の力が強まった気がして私は横を向いた。



凱はただ、だまって上を見上げてた。



凱・・・・。知ってたの?



お父さんが、あのキーホルダーに込めた意味。



あれは・・・・


『七夕伝説は、離れてもお互いを想い合う気持ちの強さをうたっています。デネブとアルタイルは離れていても競い合うようにその輝きを失わないのです』


これは、きっと凱のお父さんのメッセージ。


時を越えて今届いてる、メッセージ。




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