アルタイル*キミと見上げた空【完】
「親父は・・・・どこかで七夕の話を聞いたんだろうな。母さんは死んでも、父さんはずっとずっと母さんが好きなんだ、って。どんなに離れてても母さんを想う気持ちはかわらない、ってそんな話をするようになってから昔の父さんに戻ったと思ってた」
凱は上を見つめたまま、大きく瞬きを数回してから、言葉を続けた。
「けど、死んじゃうなんてな。そんなに早く母さんに会いたかったのかよ、って・・・・・でも今は、会えてよかったな、って素直に思えるんだ」
「凱・・・・・」
「けど・・・・」
凱は握り締めた私の手を見つめて、声を絞り出した。
「お前は今苦しんでる」
「え・・・・?」
「あの時の親父のように・・・責めなくてもいい自分を責め続けてる」
「凱・・・?」
ズキズキと胸が痛み始め、と同時にまた頭の奥にあの時計が浮かんで迫ってくる。
思わずぎゅっと目を閉じたその時に、私の体はふわっと凱の腕の中に包まれていた。
「ごめんな。俺が・・・守ってやりたかった」