アルタイル*キミと見上げた空【完】

凱の少し早い心臓の音が耳に心地よく響く。


不思議だね。


凱の鼓動のリズムに、私のそれがあわせるように重なっていくんだ。


目を上げると、凱は天井を見上げて唇をかんでいた。


さっきからココロの中で何度も叫んでた言葉をやっぱり口には出来なくて、私は彼の目線をたどって、窓の方を見た。


少しだけ薄く開いたカーテンの隙間から・・・


「晴れてる・・・・星・・・・」


つぶやいた私の言葉に、凱が上体を起こして、そのカーテンを少しだけ開けた。


空は・・・・


さっきまでの暗く垂れ込んだ雲はどこに行ったのか、抜けるような鮮やかな星たちでいっぱいだった。


凱はしばらく何も言わずにその星空を見つめてから、


搾り出すようにようやく声を出した。



「アルタイルとデネブ・・・・俺らも、また会えるよな?」



うんうん。


胸が詰まって、声にならない。


私は涙をこらえながら首を振った。


『好きだよ!どこにも行かないで!!』


そして、その言葉を喉の奥に押し込んだ。



「くそっ!!」


凱は、腕枕をしてる反対側の左手で強く壁を叩いて、そのままその手を顔の上に置いた。



赤くなってるその手の下で、凱の喉仏が震えてるのが見えて、私は目をそらした。



ごめんね。


ごめん・・・・・。



一緒にいる、って言ったのに。


また約束破っちゃって、ごめん・・・・。



凱・・・・大好き。


大好きだったよ・・・・。


そして、私はあなたを愛してた。


結局一度もその言葉を伝えることが出来なかったけど。







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