アルタイル*キミと見上げた空【完】
ふわっと照明が元に戻されると、会場からもほーっというようなため息が重なって聞こえた。
「すごかったな。本物じゃなくても迫力は・・・汐?」
「な、なに?」
「もしかして、泣いてた?」
「へ?う、ううん?」
「ウソ。目が少し赤い」
「そんなことないよ」
慌てて目をこする私の手をひっぱって修ちゃんが会場の扉を開けて外に出た。
「修ちゃん・・・っ!」
やばい、もしかして気づかれた?
という思いがつい言葉を多くさせる。
「すごかったね。迫力もすごいし・・・って修ちゃんと同じこと言ってる。ハハハ・・・」
「汐!なんか、変・・・・」
そうして、私の頬に手を当てて修ちゃんが口を開いた。
「ごめんな。母さんが変なこと言うからだろ?」
「え?」
「気にしなくていいから、って・・・・・」
良かった、違う話になってるってほっと息をついた時に、ふいに修ちゃんが私を抱きしめた。
「修ちゃん・・・・」
「ごめん。気にしなくていいよ、なんて本当は言いたくない」
「・・・え?」
修ちゃん。
さっきのは、ただの勘違い、だよね。
ただ、思い出があふれただけ。
思い出はただの思い出だから。