アルタイル*キミと見上げた空【完】
「体、本当に大丈夫?」
「うん。大丈夫。てか、最初からなんともないよ。最後までお父さんのパーティに出れたのに・・・」
そう言って車の中、ハンドルを握る修ちゃんの横顔をチラッと見ると、修ちゃんは何も言わずにハンドルを切って、車が止まった。
「修ちゃん、ここ・・・・」
停めた車の窓の向こうに広がる黒い海。
ザザ~~、という波の音がエンジンを切った車内にまでかすかに聞こえた。
「このごろなかなか時間取れないし・・・父さんたちにつかまったらますます・・・2人になれないだろ?」
「修ちゃん・・・・」
修ちゃんの左手が、私の右手に優しく重なると同時に、ドクンドクンと静かに波打ち始める胸の鼓動が、かすかに聞こえる波のリズムと重なっていくのを感じて、目を閉じた。
何度も優しいキスをまぶたや唇に落とした後、修ちゃんが、は~、と小さく息をついたのが聞こえて、ゆっくり目を開けると、うつむいた修ちゃんがカバンから何かを取り出して、私の手をとりその上にのせた。
「修ちゃん・・・・これ・・・!?」