アルタイル*キミと見上げた空【完】
「私、またやっちゃった。いつも修兄にも怒られてるんだ。勘違いで突き進むのはやめろ、って。人の話を聞け、って・・・・・。でもさ、本当に嬉しかったんだよ?」
「うん・・・・ありがとう」
「指輪もさ、新しく買いたい、って何件か一緒にお店を回ったんだけど、結局何も買わなかったんだよね。大事な思い出がつまってる昔買った指輪を贈ることに決めた、って聞いてたんだけど・・・」
「うん・・・・・・今もずっと持ってる」
「そうなんだ・・・・。いいなぁ、うらやましい」
そう言ってサキちゃんは少しだけうつむいた。
「ね、汐さん。良かったら見せて?どんなリングを修兄が贈ったのかな、って。ダメかな?」
「ううん。いいよ」
バッグの中からそれを出すと、サキちゃんは、わぁっ、と嬉しそうに微笑んだ。
「これがそうなんだ・・・・かわいい・・・・」
サキちゃんの指につままれたそのリングはキラリと光った。
その瞬間。
ドンッ。
「キャッ」
歩いてきた人の肩にぶつかったサキちゃんの指からリングが落ちていく。
それはまるでスローモーションのようで。
カンカンカラーン・・・・・
あ・・・・・・・。
転がって止まった先。
大きな指が降りてきてそのリングをつまみあげた。
その指をたどって視線をゆっくりとあげてゆく。