アルタイル*キミと見上げた空【完】
息が止まるかと、思った・・・。
足から胸に移っていく自分の視界がかすかに警告を発している。
もう、わかってる。
そのごつごつとした腕も、喉も、滑らかなラインのあごも、唇も、鼻も。
そしてその茶色い瞳に思わず両手で口を覆った。
口から自然と小さく漏れた、彼の名前は、隣から大きく聞こえた。
「ガイ!」
驚いて隣を見ると、サキちゃんが頬を紅潮させて彼に駆け寄っていくのがわかった。
え・・・・・?
名前を呼ばれた凱は、走り出したサキちゃんを見つめて笑った。
「サキ」
何年ぶりに聞いた彼の声。
聞きたくて聞きたくてたまらなかった彼の声。
けど・・・・彼のその第一声は、私の名前ではなく・・・・
そうだ。
あれから時間が流れてる。
変わったとしても、それは当然のこと。
私も、変わった。
それがあの時選んだ結果なんだ。