アルタイル*キミと見上げた空【完】
「ガイ、これね、大切なものなんだ」
そう言ってサキちゃんが凱の手から指輪を受け取った。
「それでね・・・・汐さん!」
サキちゃんが私の名前を呼んで、ようやく私はうつむいた顔を上げた。
どんな顔をして彼を見ればいいのかわからなくて、なるべくサキちゃんの顔から視線を動かさないように、意識を集中させる。
私の目の前のサキちゃんは、ピンク色の頬で、ニコニコ笑ってて。
もしかして・・・と聞かなくてももうわかるよ。
サキちゃんの好きな人って彼のことなんだね。
「汐さんだよ!ほら、いつも言ってるでしょ?修兄の・・・・・」
「知ってる」
私のことを紹介するサキちゃんの言葉をさえぎって彼が発した言葉に、つい意識が外れて、私の目は彼の瞳を捉えた。
「知ってるよ・・・・久しぶり。汐」
彼の少し低くて通る声で、あの時のままの声で、名前を呼ばれると、背中に電流が走るように感じて、思わず再び視線を落とした。
「・・・・久しぶり」
少しだけ震えてたかもしれない。
遠くで気づかれなくて、よかった。