アルタイル*キミと見上げた空【完】
「え!?ふたりもしかして知り合いだったの?」
サキちゃんが驚いた声で凱にたずねてる声が聞こえたけど、私はもう頭を上げることが出来なかった。
「じゃ、練習あるから行くわ」
彼の声が聞こえて、足音が近づいてくる。
思わずぎゅっと目を閉じた私の横を、彼は一瞬私の頭にぽんと手を置いてから、通り過ぎていった。
その瞬間、体が鉛のように重く感じて身動きが出来なくなる。
「汐さん?もしかして、知り合いだったの?ガイと」
私の隣でサキちゃんが不思議そうに尋ねるのにも、顔をなかなか上げることが出来ない。
「サキちゃん・・・・一緒に行かなくていいの?待ってたんでしょ?」
「う、うん・・・・それはそうだけど・・・」
「私はここで・・・修ちゃんを待ってるから。・・・・・・多分もうすぐで来ると思うから、サキちゃんは彼についてていいよ?」
「でも・・・」
「大丈夫だから!」
言った後に、はっと自分の語調がきつくなってるのに気がついた。
「じゃぁ、私先に行ってるね。修兄によろしく」
遠ざかっていく彼女の跳ねるような足音に、ようやくほっと息をついた。
そんな私に、嫌な言い方もせずに笑ってくれるサキちゃんは、やっぱりきっといい子なんだ。
それが、今の私を余計に苦しくさせ始めてることに、私は無理やり気づかないふりをした・・・・。